楽と祭祀 11 ことばのプロ



つづき


雅楽の家では東儀家が知られるけど、
現在も宮内庁で雅楽をする雅楽の家に、多氏(おおの)家がある。

三輪周辺に勢力を持ち祭祀した古代豪族の多(おお)氏の子孫になるそう。

多氏はヤマト王権と親しく、ヤマト王権同様、
古い時代に他所から大和に入り勢力を持った氏族かと考えている。


楽は早くから分業し、
笛なら笛と家で相伝された。

雅楽の多氏家は、楽のうち、
もとはことばを作る家だったと
ちらっとと耳にしたことがあるけれど。どうかしら。



この大和の多氏の出に、
古事記、日本書紀の編纂者である太安万侶がいる。
(おおのやすまろ、安万麿、安万呂、安萬侶、安麻呂)
・2008-11-10 楽と祭祀 07 雅楽の家 太安万侶(おおのやすまろ)


【稗田阿礼】
“天武天皇の舎人(とねり)。天武天皇の命で帝紀と先代の旧辞(きゅうじ)とを誦習し、
和銅4年(711)元明天皇の命で太安万侶がこれを撰録して古事記が編まれた。”

天皇の命で、
稗田阿礼(ひえだのあれ、ひえだのあれい)が暗誦して話す天皇の歴史を、
太安万侶が筆記してまとめたものが古事記。


稗田阿礼は、アメノウズメを祖神とする巫女的立場の猿女君の一族で、
伝承を語る能力にも長けた集団の一人と考えられることが多い。



覚えて語る職の稗田阿礼のことばを、
祭祀や儀礼のことばを作ることに長けた多氏出身の太安万侶が筆記して
まとめた。

なら、
なるほどー、と思う。



古事記 稗田阿礼 太安万侶 猿女
・2009-07-29 中世芸能の発生 181 巫女



つづく
by moriheiku | 2008-11-14 08:00 | 歴史と旅
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