中世芸能の発生 21 宗教と職人



つづき

社会体制の変化とともに、共同体の形がかわった。
生産力は向上し、職の分業化が進んだ。

支配者層に近いところでは、
荘園を守るための専門武士集団の発生もその一つ。

寺の領地のそれにかわる者達は僧兵。
神社では、神人の一部も、それにあたる。

武士のぶしは、山野を往来した野ぶし山伏のぶしからきている。



職の分業化は、もちろん武力に限らない。

里に下りた山岳系の者は、
呪術、(神事)芸能、卜占、土木、工芸、医術、薬術、などの職で
神人として大きな寺社に属した。


神道と仏教が混合した形で肥大した浄穢観念のもとでは、

例えば病人に接する仕事、死者を葬る仕事をする人々、
つまり、本来ケガレを祓う人々は、
ケガレに接する人々、ケガレに近い人々である、
と認識がうつっていた。

神人は、それらの面を請け負う者たちでもあった。


彼らは、
ケガレを祓うもっとも聖に近い存在で、
ケガレに近づくためもっとも穢に近いものとという両面を
併せ持つものに認識された。



宗教と芸能民と職人は根は同じ根にあり、
この頃は、まだ未分化だった。

つづく
by moriheiku | 2008-09-21 08:01 | 歴史と旅
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