中世芸能の発生 20 和薬



つづき

山岳の修行者は修験道と密教の両方に重なって、

修験道の行者(山伏、修験者)は、
論理も重んじる純密(天台宗、真言宗)の僧より
実践的な傾向が強かったようだ。



民衆に仏教が広まったのは、
官寺の僧によってでなく、
山岳系の系譜にある僧や山伏(修験者)、比丘尼、聖(ひじり)ら、
諸国を遍歴する宗教者たちの働きによる。
勧進も重要な要素だった。


山岳系の僧や行者(山伏、修験者)、聖(ひじり)などは、
古い自然信仰と密接で、そうした宗教的発生の経緯から、
呪術(まじない、祈祷)や、医薬の知識を持つ者が多かった。

里の季節の祭礼や、病の時の祈祷、雨乞い、
また山で採れる薬草、その調合薬を持って
里の人々と交わった。



百草丸、陀羅尼助、煉熊丸など、現在もある和薬は、
弘法大師(空海)が作った、役行者が作ったと
いわれのあるものが多い。

山岳の修行者らが作り、
持ち運んでいたものと考えられる。

越中富山の薬売りのルーツは、和薬と縁の深い白山の修験者(山伏)とも言われる。
中世になると、唐人が渡来の薬種、漢薬の流通に関わっていた記録がある。



・2008/07/11 神仏習合思想と天台本覚論 03
・2008/07/11 神仏習合思想と天台本覚論 04
・2008/07/12 神仏習合思想と天台本覚論 05

原型の仏教では不浄とされる女性、
非情である草木も救われる天台本覚論。




薬の流通
・2009-01-30 中世芸能の発生 57 遍歴する人々と外国

山人と薬
・2008-09-26 水波之伝
・2009-01-31 中世芸能の発生 58 天皇と山人


・2010-04-08 中世芸能の発生 303 日本料理 湯屋 湯聖(ひじり)



つづく
by moriheiku | 2008-09-21 08:00 | 歴史と旅
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