音を造形する



この日いらした先生に、
今、自然居士を習っています、と申し上げようとしたら、
聞いていますとおっしゃった。

先生の拍子は、今まで教えていただいたことのある先生方と、
また違っていた。

先生方は皆さん違われる。

音も、声も、発散される雰囲気も。拍子の音も違う。


一、二度教えていただいたことがある大きい先生は、朗々とされて、
ほんの少し見本に吹かれた笛もほーーと聞いた。

その音のおしまいに、ふとやさしいことがあって、
そのふとしたおしまいのところが、
お話されるときの声のおしまいとおなじ、と、はっとしたことがある。

ほんとうのとこ、どういうものかはわからないけれども。


どんな笛を使われているか以外に、
笛は、そのまま個人をうつすと思った。


先生方は、個性のくっきりとされたかたがただ。

それぞれの魅力。



この日教えてくださった先生は、
「なんでも聞いてください」とおっしゃって、
わたしはほんとうにびっくりした。

そんなことがあるなんて。


自然居士を吹き終わったら、
この○の音は軽く添えるくらい、など
注意点を具体的にいくつか教えていただいた。

普段そういうことは全然なくて。

先生がたはそれぞれお考えがおありだと思うから、それでいいのだけど。


ただ、この日の先生がいくつか注意点をおっしゃったことで、

ただの平面が、立体になってくる。
無感情な音の連なりだけだったものが、曲の形がはじめてわかってくるというか。
目の前で造形されるのを見るみたい。

かんげきー!



これまで、ただ音を出す以外にどう吹いたらいいかわからなかった。
笛を習うだけの者は、それしか望まれないらしいと思ったの。

が今回手掛かりをいただいて、
自分だけではわからない曲に近づく点を知ることができた。
わあ、自分でする練習、もっと楽しくなるー!


それから注意点に気をつけながら、もう一度、と拍子をつけてくださったので、
これまたびっくり。

お稽古で笛吹くの、一度っきりじゃないんだ!
なんて親切な。幸運。


先生が、
ここからここまではひと息で吹けると思うのでひと息で、とおっしゃった箇所は、
もう一度吹いた時、全然ひと息でできなかった。

想像される以上に息のない、
自分にがっかり。

次はひと息で吹けるようにする。




─── <夕食> ────





─────────────
by moriheiku | 2008-08-06 08:00 | 音と笛のまわり
<< メッセージ お調べの指導 >>