黒トカゲ






ベランダに新しく仲間入りしたのは、トカゲ。



一階じゃないのに。

いったいどこから。



夏休み前になって、
近くの部屋で飼われていたものが放たれたものらしい。







アタシは子供の頃は、木という木にはのぼり、

校舎の3階に届く巨大ジャングルジムの上で、
鉄の骨の上を手を添えずに走って追いかけっこをし、

ブランコを大きく揺すっては、
前でも後ろでも、
ブランコがもっとも高くなった位置からくるりと
一回転して飛び降りるという、
今からでも子供の自分に「あぶないからやめなさいっ」と言ってやりたいまるでサル、
いや、せめて人として例えるなら、
お転婆の一人だった。



ニューハーフの人が指摘したように、
たとえババア(婆)という字がつくとしても、
それでもお転婆、と、人として例えるのがいいのか、
ババアとつくよりは獣だけどサルのほうがマシなのかは迷うところだが。
(いや、迷わなくても…;)
そんなだから遊んでいて前歯も2本、折っている。


子供ってそんなものなのだろうけど、今では想像できない。
思えば私も人間になった。




ぱお(実家)に住んでいる時は、
ぱおでもやはり毎日庭の木にのぼっていたのだが、
同じように地面に臥してもいた。

何するのでなく、
ただ虫やトカゲを見ていた。


だが、アタシは、

ぽきぽきした関節を持つ昆虫はいいけど、
ナ○クジやミ○ズ(←字を書くのもヤ~)は無理。


トカゲのようなものでも、
シャープな脚先や口を持つトカゲは、太陽の下、熱心に見ていたが、
足先が丸くてきゅうばんみたいになってねちねちっとしたイメージの
ヤモリやイモリは無理、無理、無理ー。



ぱおではシュシュッっとシャープなトカゲしかいなかったし、
他に住んだところでもそうだったが、
京都市内に住んでいた時期は、
市内の家々の窓にはよくヤモリがはりついていて、
住みやすい街だったが、ヤモリだけは。
ヤモリだけは、いただけなかった。
よそのお宅の窓のものであっても。





とここまでが長い回想で。


なぜか祖父は大トカゲの剥製も持っており、

つまりあたしは最近までトカゲはわりと好もしく思っていたのだった。



が、今住んでいるところのベランダに新しく加わった住民(トカゲ)が。

イヤ。



なんか枯れてるし。


ぬるくふやけ、シワだっているみたいな。

脱皮でもなさそうだ。


今まで見てきたトカゲはシュシュッっとシャープ、なはずなのに、
急に現れたのは、足先もなぜかぬちぬちしているように見える。

しっぽは切れたあと再生したもので、
その色は、胴ともまた違うなんともいえない色をしている。



そして、

衝撃。



アタシを見上げるの。

爬虫類なのに。



お洗濯ものを干したり、鉢の水遣りにベランダに出ると、
いつのまにか出てきて、すぐそこ、足元にじっとして、


猫や犬のように、

首を上げて、あたしを見上げる。



や め て~~~~~。




すごくこわい。



見ないで、あっちへ行って、としっしと物を振っても、
のろのろと動く。



過去に見たトカゲは、みな俊敏で、
人を見ればしゅしゅしゅっと姿を消していた。

トカゲはそういうものと思っていた。

私はトカゲたちを見ているだけで、特にちょっかいも出さなかった。
トカゲと人とは住みかが違っていた。


なのに

それは、寄ってくる。




こわい。



飼われて、人の手からエサをもらっていたのだろう。




夏には焦げそうなベランダ。

ベランダのほかの住人や立ち寄るもの、
草や木、小さなクモやアリ、蝶、小鳥、近頃はたまにセミ、たちのように、
住み分け共生を望む。



よそに行って。

すごくこわい。

もうアタシを見ないで。





─── <夕食> ────







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by moriheiku | 2008-07-17 08:00 | つれづれ
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