神仏習合思想と天台本覚論 04



つづき

 
法華経は、女人成仏を説く。
日本の天台宗の本覚論は、草木成仏にも及ぶ。


空海、最澄、日蓮、道元・・・。

有情である人や動物だけでなく、
非情である草木にも仏性はあると考えた。



もとのインドの仏教の、

有情のものは、仏に近づく心を起こし、修行して成仏(悟り)に至る。
非情のものは、心自体を持っていないから、成仏(悟り)はしない。

という思想から、


有情のものは菩提心を起こし修行し、
自分の中の仏性を取り出し成仏(悟り)に至る。
草木はそれ自身が仏性の現れとしてあり、
すでに成仏の資格がある(すでに悟りである)。

と考えるに至った。
というところだろうか。



万物は、遠い仏に近づくのでなく、
むしろ
全ての中にすでにある仏性に気付く。というような。






天台本覚論は、
知らず身体に沁みている、
日本の、宗教以前の自然観に、
仏教の言葉で説明をつけたとも言える気がする。


それまで
長い時代をかけ繰り返されてきた神仏習合をおこす働きは、
ここでもまたされる。


習合を成立させる思想は、
日本文化のベースにある。

さらにそれはオリジンにつながっている。



・2010-06-21 中世芸能の発生 330 主客の分かれないところ 宗教の原型




・2013-02-06 日本の命の概念
日本の古来の命の考え方は、
大陸から入ってきた命の考え方とは違う。

大陸的な考え方では、命はもっぱら動物、また植物の生命のことを指す。
(今は日本人にもこれに近い考え方だろうか。)

古来の日本の命は、
その生命力、圧倒的な力、横溢するエネルギーのことを、命と感じていた。

したがって昔の日本では、山にも岩にも命がある。
滝も水の流れも、風も、命そのものだ。
光も、音も。何かの中におこる力や性質自体も。


ごく古い時代の日本のこうしたイノチの感覚がやがて、
日本における精霊やタマの概念になり、日本における神の概念になり、
仏教が入ってからは民俗信仰と習合した仏の概念になっていった。

かつて命はエネルギーのようなものに概念されていたので、
古い時代の日本では、命の概念で生物と無生物は分かれない。

したがって日本では、
森羅万象に命があり、森羅万象に神が宿り、
岩にも木にも仏がいるという理解になっていった。
日本の信仰の流れ。



≪ 神仏習合の形 ≫

・2011-01-27 中世芸能の発生 379 根元
・2010-05-05 中世芸能の発生 304 仏塔 心柱 刹柱
・2009-10-26 中世芸能の発生 231 懸崖造り
・2010-04-07 中世芸能の発生 302 一刀彫
・2009-08-17 中世芸能の発生 188 作仏聖 円空 棟方志功
・2010-04-08 中世芸能の発生 303 日本料理 湯屋 湯聖(ひじり)



≪ 芸能の語る神仏習合 ≫

谷の水音滔々と  たき(激 滝 瀧 たぎ)つ心
・2008-09-26 水波之伝
このお能の作者が最も心を動かしているのは、
山神でも楊柳観音菩薩でもなく、
作者の心を動かしているのは、
峰の嵐や 谷を駆け下る水の音、滝の音だと思う。
それはきっと古い芸能の根元だ。



≪ 芸能者と神仏習合思想  古来の信仰と仏教のはざまで ≫

仏教以前からの、日本の古来の民俗信仰の流れにある芸能の人々も、
即ち仏徒であるとする、根拠と自覚のことばだ。
この歌は、当時の、矛盾の中に立つ多くの人々の願い。
・2010-05-21 中世芸能の発生 316 今様即仏道 芸能者と仏教

仏教思想において罪となった人々
・2010-06-22 中世芸能の発生 331 罪業感 今様




≪ 和歌と仏教  和歌における古来の信仰と仏教 対立と習合 ≫

仏教と和歌のせめぎ合いは、
渡来の仏教と、仏教以前の日本の古い民俗のせめぎ合いでもある。
・2010-05-20 中世芸能の発生 315 仏教と和歌の習合




≪ 日本仏教の中に残る仏教以前、日本古来の民俗信仰。 
  渡来の仏教と古来の信仰の習合・折衷 ≫

・2009-02-03 中世芸能の発生 61 異能の童子
・2010-11-07 中世芸能の発生 362 呪師
・2009-05-13 中世芸能の発生 131 だだ 足踏み
・2010-06-15 中世芸能の発生 324 後戸 後堂 しんとくまる


・2008-06-24 比叡山 千日回峰行
・2009-07-04 中世芸能の発生 163 修験道
・2009-07-13 中世芸能の発生 175 堂衆と千日回峰行


・2008-07-10 神仏習合思想と天台本覚論 01






・2009-06-16 中世芸能の発生 151 法華経と滅罪
・2009-07-13 中世芸能の発生 174 法華経


・2009-11-19 中世芸能の発生 246 翁 神さびる
・2009-11-08 中世芸能の発生 239 さぶるこころさまねし
・2009-11-11 野生の息





神仏習合の底に流れるもの
・2011-07-22 中世芸能の発生 402 神仏習合思想 日本人の仏教

神仏習合は、古来の民俗信仰と渡来の仏教思想のはざまできしむ
精神の整合性をとるために
切実に求められ一気に進んだのではないかと思う。






木(キ)
・2011-09-05 中世芸能の発生 412 キ(木) 毛(ケ) キ・ケ(気)
・2011-09-06 中世芸能の発生 413 ことばと植物




つづく
by moriheiku | 2008-07-11 08:01 | 歴史と旅
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