はじめておめにかかった先生02




つづき



お願いいたします。
とご挨拶して、
お調べを吹いた。


そのあと、先生にどこをお稽古するかお伝えする時、
下り羽ですと言ってしまった。

がっ。
私は、おおべしだった…(下り羽じゃないって)。何を言い出す、わたし。


前回、おおべしの、カカリの唱歌を習ったのだけど、
今日先生が初段もカカリと同じとおっしゃり、
そのまま初段を続けて吹いて、

そして二段はとどこからでも留メに入ることがあることをうかがって、
二段も吹いて、

そして留メも、いつのまにか留メまで来て、
なに留メか知らないまま、ままよと打ち上げ留メを吹きかけたら、
ロルラリヤのほうの留メとわかり、

先生の拍子に合わせて、ゆっくりその留メを吹いた。


留メはまだ先の先と思っていたので、
唱歌の本で留メの吹き方を見てもいなかった。



「もう一度」と何度か繰り返してくださった。
普段お稽古は、できなくても一度。一通りきり、なので新鮮で、
一所懸命吹いた。

間違ってしまうのだけれど、それでも、ちゃんと吹きたい、と思って吹いた。


息が最後まで続かないので思わず、拍を間違ってしまう箇所は、
理由もお話してくださった。


こんなお稽古のされかたもあるんだ。






先生は、
ゆったりして、力強く、チャーミングで、明朗でいらした。


先生の前にいて、おなかから出る声の前にいると、
太陽にあたって、しおれていた草がのびるように、
私の背筋が伸びる。


うんとうんとうんとうんと練習したい、と思った。



いくつか質問して、

元気に「ありがとうございました」を言った。




裏のエレベーターのあたりで先生が帰られるところに出会った。

いつも教えてくださっている先生は、
今日は申し合わせがあり、
いらっしゃらなかったそうだ。


お能の笛は合わないかたはすぐやめられる。
合っているのだと言ってくださった。

先生の生徒さんがたは、皆さん獅子も吹かれるそうだ。
CDで聴いたことある。
すごくドキドキする曲。

わたし、そんな日が来るかな。
笛を続けていられたらいいな。
笛を続けたい。



つづく






─── <夕食> ────







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by moriheiku | 2007-11-03 08:00 | 音と笛のまわり
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