理想の土地



市の大きな複合施設を、研究所の敷地に造るという話は、
数年かかって一度消えたが、
再び再燃。

建設予定地に決定していた土地が他にあったけれども、
それは白紙撤回された。

先の選挙で、
建設予定地に決定した土地にはその施設を建てないと言った人が勝利したためで、
つまり、その建設予定地にその施設を建てないことは公約なのだ。


それって票集めちゃうん?
人口の多い元建設予定地に、
おいしいことを言って?

なーんて、
つい、邪推を。

いけない。



選挙権を持った人々と対するより、
研究所の母体である大学を相手にしたほうが、
組みし易いと思ってるでしょう?

とか、


研究所内に働く人々は、
所詮外の土地からきている人々なんだから、
と思うでしょう?

なんて思ってしまう。


そうとう疑り深い、
物事をそんなふうにうけとる自分を深く恥じる。

恥じている。

恥じている。

恥じる。






建設反対を公約にしたあの人の顔、あれは、
「整理、整理。造成、造成!」
で、やった、と思う人の顔。それとも。


研究所のあたりは、
ものすごくおいしい場所に見えてるだろう。




整理整理、造成造成!

実にさっぱりしていい!

森をつぶすことは平気。



なにか広い土地を整理して、
目に見える大きな道路や建物を建てると、
それが立派な、すごく大きな“自分の”成果に見えるのだ。
そういう人々は居る。
 
そしてそこには利害がぶら下がっている。




市の施設を建設するだけなら、資金のめどもたち、
気分はいけいけだが。

新聞でちょっと見たけど、
研究所を移転して敷地の全てを更地にして、
研究所が市に土地を貸す形にするとして、
市はずっとその賃料を払い続けるわけ?びっくり。

建設後の維持にかかる莫大な費用は、多くの市の財政を圧迫してますぞ。


でも研究所だって木の研究してるんじゃないんだから、
その研究所トップの人は、それは良いはなし、と思うかもしれない。
研究者は自分の研究ができればいい、と思うだろう。


なんなら、
撤回されたが、一度建設予定地が決まる前に、
研究所と同じように建設候補地のひとつだった私の家のそばはどうかしら。

建物移転や、森をつぶすこともない。
広い土地があるけど。

どうしてあそこは立ち消えたまま?

不審。




研究所だって、
新しい電波望遠鏡の建設で、木、ものすごく切ったし。


でも木が好きだから、
もう巨木になったたくさんの木を伐ってほしくない。

も少し議論して。


と思うそれも我欲か。






昨日、研究所の横をタクシーで通り、
その時間研究所内にいるかもしれないぷじょ~さんに、
心の中で「ヤッホーーー!」と声をかけ、
森の外から(心の中で)手をぶんぶん振った。

タクシーの運転手さんも、
「木は簡単に伐らないほうがいいねえ。」
と言ってたぞ。(私に合わせてくれたわけじゃない。)


いつあるかもわからない次の選挙で、
また逆転し、
建設案は戻るのかもしれない。
住民、市、建設関連業者、他が見ている。動いている。

大人社会は面倒だが逃げることのできる理想の土地など、
この世にはない。


ないのです。

聖武帝。






─── <夕食> ────







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by moriheiku | 2007-10-30 08:00 | 言葉と本のまわり
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