鈴と種



つづき




鈴はもとは、種の造形ではないかな、と思う時がある。

種の入った実、とか。



縄文前期前半の遺跡から、
スリットのない土鈴が出土している。

それは粘土を焼いて作っった菱の実型の外観で、
X線写真で見ると中には、4、5個の丸が入っているそうだ。

スリットがなく密閉されているため、
耳元で振ると、音はかろうじてシャカシャカ聞こえる程度という。



縄文期の土鈴(複数)には、スリットがないのだ。
このことから、鈴の音は人に聞かせるためのものでなかった、
つまり楽器の音は人のためでなかった、との推測もされる。


音楽と宗教は深く結びついていたし、
古来、霊(タマ・スピリッツのようなもの)を招くために
楽器が使われてきた事実もあり、

日本の楽器や音楽は、
もともと人のために聞かせるものではなかったと、推測もできる。


それはものすごく魅力的な考え方だけど。



出土したそれは、鈴? (石笛は笛?に次いでまたも同じ疑問を ←疑り深い)

どうして鈴とわかったの・・。


と出土品の写真を見て、ぽーっと思う。




私は、樹木が好きなせいか、
縄文期に出土したスリットのないもっとも素朴なタイプの土鈴を見ると、

これは種かしら、なんて思うのだ。


発掘状況も知らず私に判断などつくわけないのだけれど、
鈴らしき写真を見ると、これは鈴?なんて。

俵型ともなると鈴かも、と思うけど。






種や実は、ふしぎ。


小さな一粒から、大木になる。

小さな一粒がいくつも実を実らせる。



科学的な説明のない頃、
種はふしぎな生命力を含んだものに感じられなかっただろうか。



自然に親しかった縄文の頃に、
種を模すことは自然ではなかろうか。

いや、種を模さないほうが不自然。




そのくらいだれもが考えてるだろう。


氷河期と間氷期を繰り返し、
氷河期が終わりに近づき、後氷期を経て、縄文時代に入った。

その間には、
100メートルも下だった海面が上昇し、
日本列島は大陸と切り離され、

平均気温は、現在より数度高い時期もあれば、
数度低い時期もあった。

植生は随分変化しただろう。


その時期そこに種は、
種が入った実を生らす木は、どんな木があったか。

もう少し深く知りたいな。





・2007-10-18 鈴とオガタマ

・2009-10-07 中世芸能の発生 212 鈴 太鼓

こもって再生するイノチ。種。種の場所。
・2011-09-01 中世芸能の発生 411 こもる こもりく 参籠 たたなづく青垣
後戸の色は、古来の民俗信仰の色。
この伝説を語る人々の系譜にふさわしい場所。

鈴の音が聞こえるような 桐の花。 鈴。命の祝福。
・2011-04-19 中世芸能の発生 387 桐の花 自然という底流
神話のアメノウズメノミコトの採り物って結構時代が新しいものある。
新旧入り混じっていて時代の変化とともに採り物が変遷したことを感じられて興味深い。
鏡とか、金属だし。



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・2009-10-07 中世芸能の発生 212 鈴 太鼓


・2008-08-13 さ行
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・2009-11-08 中世芸能の発生 239 さぶるこころさまねし
・2009-11-19 中世芸能の発生 246 翁 神さびる
・2009-11-11 野生の息

・2009-12-17 中世芸能の発生 267 一つ松 声の清きは



・2010-02-04 中世芸能の発生 268 古代における聖性とは



こもって再生する命。 種。
・2011-09-01 中世芸能の発生 411 こもる こもりく 参籠 たたなづく青垣



・2010-03-16 中世芸能の発生 297 土地の木



つづく
by moriheiku | 2007-10-18 08:00 | 音と笛のまわり
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