ヨリシロ




私がこうして、何かについて文字を打っているとき、



わたしはほんとうは、

そのことについて打っていない。


ことがある。





本当に打っている時は。そう。





文字では電車のことを打っても、


ほんとうは、

電車のことは言っていない。






そうした対象は手がかりのひとつで、


対象は眼鏡のレンズにして、


ほんとうは、

その先に見える世界を打っている。





あるときには、


なにかを対象にすることで、

そこにことばでリズムを作り、

ある世界をかたち作ろうとする。






対象を、フリークライミングの突起の一つのように、足がかりにしたら、

あるいは、

対象をヨリシロのようにしたら、



それをかかりに、 ことばで、


透明に見える中から、ある部分を、すくう、



と現れる、

ある世界。





それとも別のときには、


対象について文字で打つときに、

対象を、でなく、


腕の先や、指にある、

空気感を、


字面へ乗せて、のぼらそうとしている。





対象という足場なしに、

姿にならないもの。




ヨリシロのようにした対象のもとに

現れる、



ほんとうは、

字面に見える文字や文章の意味には、ないものを、

打っている。




全部じゃないけど。

たいていは。







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by moriheiku | 2007-09-19 08:00 | 言葉と本のまわり
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