つづき ぱお(実家)のあたりも、 町名が整理される前に長く呼ばれていた土地の名前がある。 新しくなった町名は全く別のものだが、 古い地名には、この木の名前が入っている。 私はなぜかぱおの、その一番大きな木の名前を長く知らずにいた。 ある時、父に、 「あの木の名前はなに?」と聞くと、父が、 「○○○。ここの地名と同じだよ。○○○(土地名)と言うだろう。」 と教えてくれた。 ああそうだったのか。 昔は、素朴に土地を区分けしたのだろう。 いつまでかは知らないが、 昔、ぱおのあるあたりは、高木の種類であるその高い太い木が数多く繁り、 日陰を作っていた土地なんだろう。 あの木々のあるところ、と言うと 当時の住民が分かるようなそんな地名の一つ。 その木がたくさん生えていた場所を指すごくシンプルな地名。 この木の名前が入った土地の名は、 辻の名称のようなものだけに微かに残っていたが、 今度の区画の整理でそれももう無くなる。 ぱおを台風や竜巻の被害から防いでくれていたこの木は、 家々が建つずっと以前から土地に生えていた木だ。 何も気にしてなかった。 この木はその土地に最も合って適応していた木。 潜在自然植生だ。 この木は、伐ってはいけない。 見まわすとぱおの周囲の木々、 ほかのお宅もぱおの庭木や生垣も、 人の好みで後から植えたものだ。 庭師さんが長い年月丹精して作られた松や椿も、 それぞれが大切だけど、 それでも一等大切なのは、土地に自生していたこの木だ。 失われていったこの木々と一緒に、 木の名前の入った地名も消える。 つづく
by moriheiku
| 2007-09-04 08:00
| 言葉と本のまわり
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