鹿革 弓




パオ(実家)で、昔使っていた古い弓に触れた。

袋から出し、竹にさわった。

少し、そして
ぐっと弓を反らし、弦を張った。 大丈夫だ。


長く使っていなかったかけは、
一度右手につければ、手首に巻くもそう抵抗はなかった。

鹿の革のにおい。
鹿革のにおいはやわらかくて、
なめした革もやわらかく、
そうだ、私は、鹿革はきらいじゃなかった。


小瓶に松脂を取り分けてあったのがそのままで、
かけの親指あたりに、小瓶の口元の松脂をつけ、ぬぐった。



好みの羽の矢をたんねんに選んでいたあの頃の。
その頃の、私の引く強さに合わせた弓だ。

ひかず、もとに片付けて帰った。



弓は、長く、うつくしい。

構えただけで、集中する。

静かになる。


家に帰ってから、射の姿勢を、何度も、何度もとった。






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by moriheiku | 2006-07-08 08:00 | 音と笛のまわり
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