中世芸能の発生 287 ヒロメク 蛇 剣


つづき


・ヒロメク

「ヒル」の派生語に「ヒロメク」という動詞があり、
雷が光り輝くこと、幡が飜ること、蛇が爬行することを表す。



ああ、これらはそっくりだ。

雷の光。ひるかえる幡(はた)。蛇の爬行。


この印象が「ヒ」。

よくわかる。

「ヒ」の強い印象。




大昔の人々は、これを霊力と考えて、
蛇は崇拝の対象になり、剣は蛇のイメージがつきまとう。

利剣に冠される「蛇(ヲロチ)」の装飾語。
伝承にみる、刀身が蛇のように「ヒロメク」イメージ。



十年ほど前、宮崎県へ行った時(古代史好き)。

ある渓谷で
「洪水の時はこんなところまで水が上がったの」って思いながら、
岩の間から下の、淵の水を覗き込んでいた。

そしたら水底から蛇?鰻?が、
身体をひらめかせて、水面へ昇って来て、
一瞬でまたひろめきながら水底へ見えなくなった。
三度見た。

あとで見た映画千と千尋の、
遠くの方で白龍のハクが青い空にひらひらっとしたのはそっくり。

一瞬の水蛇?鰻?のひらめきに、龍ってこんなふう?と想像した。
下の淵を見下してるけど、まるで
逆さに空を見ているみたい。

鰻?水蛇?たくさん住んでるの?
息をしに昇るのかな?
昔はそこここにいたのだろう。
まるで一瞬の。ものすごい速さだった。


光のヒロメキ
・2009-03-28 リハーサル



現代は色や光、情報が多くて、
ひろめくものに気づきにくくなっているけれども、
昔はひらめくもの、ひらひらするものに、
すごく注意を喚起され、心も身も動かされただろう。


ひらっとするもの、ひろ(ひら)めくものに、
我々の身体は注意するようにきている生物だ。




参考:土橋寛『日本語に探る古代信仰』




ハタ 幡 旗
・2010-02-14  中世芸能の発生 281 青幡(あをはた) 旗 幡 ハタ



「ヒ」のこと
・2010-02-17 中世芸能の発生 284 ハタ ヒレ
・2010-02-18 中世芸能の発生 285 ヒ ヒル ヒヒル 蝶
・2010-02-19 中世芸能の発生 286 ヒレ ヒラ ヒレ有る骨柄
・2010-02-21 中世芸能の発生 288 自然と身体




光のヒロメキ
・2009-03-28 リハーサル



ヒレ
・2009-08-12 紅い橋



つづく
by moriheiku | 2010-02-20 08:00 | 歴史と旅
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