中世芸能の発生 189 土地の色


つづき


いくつもの県を過ぎる移動の長い日は、
国が変わるのを肌で感じる。

道を過ぎながら幾度も、
ああ別の国(土地)に入ったなー、と思う。



土地によって色が違う。

地形や気候、土や植生、生物などのありようが、総合的に、
空気の肌合い、色の違いに感じられるんだろう。




坂を越えて空気がかわる、
ここから別の土地、と思う峠を、

あとで地図を見たり、
路肩の朽ちたような小さな看板に
○○坂と書かれた名を見ると、

ああそうか、ここは△△と□□の さかい だから さか なんだ。

さか(坂) は さかい(境) の さか だと身体で実感できる。



さかい の さか は、
かならず坂道でもないけれど。
峠の さか は 土地の さかい が実感しやすいから、

大昔、人々が、
こうした風土の感じを神と考えるようになってからは、

別の土地に入る際、土地の神に
幣(ぬさ)などを手向け(たむけ)て入ったのもわかることだ。

手向け(たむけ)した坂が、峠(とうげ)と呼ばれるようになった、
峠(とうげ)は、地面のたわむことからとも、
手向け(たむけ)からきているとも言われる。






・2011-01-27 中世芸能の発生 379 根元




峠の手向け 和歌
・2007-11-06 手向山 紅葉の錦
・2008-07-29芸能の発生 古代~中世 04 和歌と祝詞



土地のさかいで 幣の代わりに通行料 関所
・2009-04-16 中世芸能の発生 108 武士の狩猟民的性質について





手向け 幣 祝詞としての和歌
・2009-03-05 中世芸能の発生 82 和歌と宣託 紀貫之
・2009-03-06 中世芸能の発生 83 山柿の門 大伴家持
・2009-03-26 中世芸能の発生 93 歌の展開
・2009-04-08 中世芸能の発生 102 和歌の神 住吉大社




・2009-08-19 風土


・2008-01-17 みつ 07 ひくま



つづく
by moriheiku | 2009-08-18 08:00 | 歴史と旅
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