中世芸能の発生 163 修験道


つづき



中世までの芸能に、
初期の修験道と女性宗教者のかかわりはとても大きい。
しかし現在芸能との関わりにおいて、
それらがとりあげられることは少ない。

この人たちの存在と活躍がとりあげられる機会が少ないこと自体が、
宗教と芸能の変遷を物語っているようにみえる。

中世までの修験道と女性宗教者について、
自分なりにすこしたどってみたいと思う。





修験道のベースには、自然信仰の色濃い古来の民俗信仰があるようだ。
それに道教や陰陽道や仏教他がミックスしていると考えられているようだ。

修験道は自然の中で修行する。

礼拝対象は自然、ではなく、
自然に宿り、自然と一体となっている神や霊を礼拝し、
その霊的力を受け、霊的力を得ようとする。

現代の修験道はより仏教的。


仏教以前の原始的な自然信仰をベースに、
さまざまな要素を取り入れ、修験道の原型ができたようだ。

修験道は、
古来の民俗信仰になかった自然に宿る霊を形にした神像や仏像を持ち、
お経や真言も唱える。

修験道には自然信仰、山岳信仰、神祇信仰、
陰陽道の神仙術、星辰・龍蛇信仰、仏教など様々な要素が含まれる。

そのため時代によっては、
神道のようにも、あるときは仏教のようにも、
またどれでもないように思われたことがあった。



神道は、修験道にくらべると、
早くから系譜化され、社が作られ、
ご神体を鏡や剣としたり、自然の人格神化あるいは人格神を持った。

国の開闢神話を整えて、
為政者に結びつく政治性思想性を持った文化的な神道にくらべると、
古い時代の修験道はプリミティブな自然信仰の色が濃いようにも思われる。


また昔の修験道は、
山野で激しい苦行をすることで超人的な力(験力)を得て、
直接民衆の願いに応えるものだったが、

のちにたとえば社殿や伽藍で仏教を哲学し、経典を読誦するような人々からは、
未開、原始的、呪術的で野蛮と見られたいきさつがある。


しかし、奈良時代や平安時代の途中くらいまでは、
一般的に僧や聖といえば山林山岳で修行する修験を実践した人だったし、
それなしに人々を救う力があると思われなかった。

それが時代が下り、
古来の民俗信仰や山岳信仰、修験道と融合して日本に根付いた日本の仏教が、
寺院の中で洗練されるにしたがって、
その日本的な仏教の中のプリミティブな原始信仰や修験の要素は、
表にあらわれなくなった。




修験道も堂や像を持ったけれども、
修行の場は自然の中で、礼拝対象は自然のすべて(に宿る神霊)に及ぶ。

仏教の仏を上位にする立場からすると、
自然信仰山岳信仰に発した神霊が形象化された像といっても、
修験道の神仏の由来がわかりずらく見られたことがあったようだ。

修験道は誤解されがちだったが、
自然を体感するという根源的な部分で、
広く理解がされていたのではないだろうか。

また修験者たちが、観念的というより実践的に、
人々の願いにじかに行動で応えてきたものだから、
盛衰がありながらも現在まで生きたと思う。



古来の自然信仰・原始宗教・山岳信仰・民俗信仰は古い神道と思われがちだ。
しかし神道は、古来の民俗信仰の流れではあるけれども、
それとはまた少し異なる宗教の一形態と考える。

修験道の遺構が、
後に神社や寺院に代わっている例は多い。

神道と修験道に重なる部分がみられること、
山野で修業した古い修験道が日本の仏教のベースになっている部分が
あることからも、

修験道は原始宗教を底にした民俗信仰の展開のひとつなのだろうなー
と思う。



参考:五来重『修験道の歴史と旅』






・2009-07-06 中世芸能の発生 165 捨身

・2009-09-12 中世芸能の発生 200 声と身体
・2009-09-13 中世芸能の発生 201 陀羅尼 三昧


・2009-09-23 中世芸能の発生 203 狩猟 採取



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・2008-07-10 神仏習合思想と天台本覚論 01
・2008-07-11 神仏習合思想と天台本覚論 04




・2011-07-22 中世芸能の発生 402 神仏習合思想 日本人の仏教
神仏習合の底に流れるもの

神仏習合は、古来の民俗信仰と渡来の仏教思想の
ひずみを解消し整合性をとるために切実に求められ
一気に進んだのではないかと思う。


="http://moriheiku.exblog.jp/11498776/">つづく
by moriheiku | 2009-07-04 08:00 | 歴史と旅
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