薫り





過日の演奏会。


オーケストラの中に客演して

強い磁場を出している人を見ていた。


私もあそこで弾いたらいいのに、

磁場につられて。







学校の入学式で、ひとつだけ覚えていることがある。

長い長い行事。どなたかが壇上でされた挨拶。

そのかたのお話のされる様子から、
あまり心のない挨拶に見えた。

そのかたが原稿で読まれる挨拶のことばのうち、
良い香りの中にいれば知らず知らず香りがうつる、
という部分があった。


覚えているというわりにきっちり思い出せない、ずっと前のことだけど、
つまりそのかたは、

講義がなくても、とにかく毎日学校に来なさい、
良い香りがうつるように、
この学校の良いものが知らず知らずあなたがたの身につくだろうから、

というようなことを、せかせかと(と見えた)
原稿を読まれる中で一言おっしゃったのだった。


私は、もちろん、
どこをとってもろくでもない学生だったので、
その通りにはしなかったけれども。


そのことばは、その瞬間薫って、
今も私のどこかで薫る。
by moriheiku | 2009-05-18 08:00 | つれづれ
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