地形を旅した 市



つづき

海石榴市(海柘榴市つばいち)は、
「椿市」「つばき市」とも書かれきた。


「山のことぶれ」折口信夫
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青垣山にとり囲まれた平原などに、村国を構へる様になると、常世神の記憶は次第に薄れて行つて、此に替るものが亡くなつた。さうして山の神が次第に尊ばれて来て、常世神の性格が授けられて来る。
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海の向こうの常世から、時期になると神が訪れ
幸いをさずけると考えられていたものが忘れられ、

山にとり囲まれた平地に住むことが長くなると、
神は山から訪れるように思うようになる。

常世の神は山神となって、

新春、春の訪れに、
(山神)山人が山から里へ下りてきて、
祝福をし、土地を鎮め、村君・国主の健康を寿ぐ。


・2008-05-28 山岳信仰 04 能楽の源流
・2008-09-26 水波之伝

ことぶれ 言 ふり
・2008-10-28 地形を旅した 冬にふる 




「市」の語の起源については、
神を接待(イツ)く場所(ニハ)。
神の接待場(イチニハ)からきていると考えられているようだ。


古い市は、海沿いにはなく、山と平地の境にあった。
山人が山のものを持ってきて、
そこで里の人と交換する場。




現代日本人の私が、地球には大気があり、
私は空気にかこまれて生きていることを疑っていないように、
(ああ私はそれを信じている。私も何かを信じているんだ。)

昔の人にとって、宗教的なものの見方は常識でもあったようだ。


つづく
by moriheiku | 2008-10-30 08:01 | 歴史と旅
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