谷辺に生うる山吹を 大伴家持





うつせみは 恋を繁みと 春設(ま)けて 思ひ繁(しげ)けば 引き攀(よ)ぢて 
折りも折らずも 見る毎に 情和(こころな)ぎむと 繁山の 谿辺(たにへ)に生ふる
山振(やまぶき)を 屋戸(やど)に引き殖ゑて 朝露に にほへる花を 見る毎に 
思ひは止まず 恋し繁しも
                           大伴家持   万葉集 4185

                    参考:万葉集(四)中西進著 講談社文庫


(略)・・・
手折っても折らなくても、
見るたびにこころがなごむだろうと、
木々の繁った山の、谷間に生える山吹(山振)をわが家に移し植えて、
朝露に 匂へる花を 見る毎に
思いは止まず
恋し繁しも





万葉の頃も、
谷辺から山吹を引き抜いてきて、庭へ植えた。



浅い春の先がけに開く花は、葉に先立って開く。
春の深まったころの花は、葉とともに開く。



山吹は枝垂れて群生する。
緑の葉とともに咲く、みずみずしい黄。








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by moriheiku | 2008-04-10 08:01 | 言葉と本のまわり
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