ベルベット




細かい雨粒が降り続く。
電車の車両内は肌寒く、
けぶる緑の稲の原はベルベットのように見えた。


草から、木へ。山へ。奥へと緑が続く。

緑の続くあの中に、分け入りたい。

露に衣が濡れてもかまわない。


ところどころ古い木の根があらわれた土を踏み、
山の空気を呼吸したい。
樹々の気配の中にいたい。


木々の下になるあの道を、遠回りして帰りたかったが。
下車した頃、雨が強くなり、そのまま帰った。
by moriheiku | 2006-07-12 08:00 | 言葉と本のまわり
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