一発勝負 焼き菓子


焼き菓子を作る面白さに、
一発勝負ということがあるという。


焼き菓子は、焼き上がった後
シロップをしみこませたりグラスをかけたりはするけれど、
基本的には焼き上がりの素の姿。
生地の出来はそのままお菓子の出来になる。

生菓子のように
クリームやフルーツなどのデコレーションを加えることはほどんどせず、
そこで味や姿の足し引きをすることも焼き菓子にはあまりない。

焼き菓子は
後でカバーできない一発勝負の難しさと楽しさがあるそうだ。


膨らみにむらなど出ると、なんかアラを隠したくなるし。

粉糖ふっちゃおうか、なんて。


一発勝負の真剣さ、か。

今私の作る洋菓子は焼き菓子中心なので、
なんだかわかる気がするー。

そのままの素がきれいに仕上がるよう、がんばるぞー。



私の作りたいお菓子は、
フランスやどこかの国のお菓子の再現を目指すということはなく
(本場の味を知らないので)、

素朴なナチュラル系のお洋服のようなお菓子でもなく、

家庭で作られてきたお菓子でも、洗練されたお菓子を、
風味も形も香りもきれいなお菓子を作りたいなと思う。

(作らず食べるだけなら、色んなの試したいけど。)

あと季節感を加えた家で作るお菓子。

製菓を習ったことがなくあまりに無謀だけど、
そんなレシピを組み立て作れるようになるといいな。



色々なレシピ本やテキストを読んで作ってみるうち
とても参考になる本がいくつかある。

最近買って役に立っているのが、
『プロのための製菓技法 生地―生地の扱い・製法、それぞれの方法』。

「プロのための」なんて読んじゃって、
あまりにシロウトなのにほんとすみませんって感じだけど。
本の中に掲載されてるレシピを作ってみると
内容は私にもすごく役立つのだった。


『プロのための製菓技法 生地―生地の扱い・製法、それぞれの方法』は、
洋菓子の基本的な生地

・パート・ブリゼ/パータ・フォンセ
・パート・シュクレ
・パート・フイユテ
・パータ・ジェノワーズ
・パータ・ビスキュイ
・パータ・ケーク
・パータ・シュー
・パート・ルヴェ
・パータ・ムラング
・パータ・クレープ
・パータ・フリール

毎に、一章づつ設けられている。
そしてそれぞれの生地毎に
四名のパティシエによるその生地を用いた菓子のレシピが紹介される。


バリエーションの豊富さにわくわくするけど、

興味深いのは、
四名のパティシエそれぞれの生地の配合を見て、
それぞれを試せること。


同じ生地の配合の違いは考え方の違い。
西洋のレシピを読むのは、西洋音楽の演奏で楽譜を読みこむのとよく似てる。
作っていないレシピも、何度も何度も読む。


作業手順は写真がたくさんついておりよくわかる。
でもお菓子を習いたいと思っていて
お菓子を作るのがほんとにほんとにはじめての人には、
基本的な行程と生地の状態が大きな写真で詳しく説明されてる本が別に必要と思う。
製菓学校が出版されている本や、コルドン・ブルーの本とか、
それらは一つ一つのレシピを作るというイメージでなく、論理的に学べて展開していけるので。

『プロのための製菓技法 生地―生地の扱い・製法、それぞれの方法』も
そのような展開していける本の一冊と思うけど、

ドシロウトの私も参考にできるくらい、わかりやすく出来てることに加えて、

なんといっても、
同じテーマで複数のプロそれぞれの考え方を聞ける(読める、味わえる)ことが
他の本にないもの。



レシピは一般の人にも作りやすい分量で書かれてるものが多い。
ただプロのレシピからなので
材料の計量は1グラム刻みのグラム単位。462gとか。

作業工程には業務用のミキサーやパイシーターが用いられ、
パウンド型11本分、パイ60個分など、
家で作るには分量が多めのものも中にはある。
がそれはこの本で学べることを邪魔するものじゃない。


生地を中心とした本なので、
クリームやデコレーションはレシピ中に出てくるもののみとなる。
ただしレシピのバリエーションが豊富で
レシピを使いまわすことがないため、
クリームやお菓子の形の種類は一般的なお菓子作りの本よりも多い気がする。



レシピ中にある、
焼きっぱなしのお菓子の表面に、
焼きながらエレガントなひび割れを作る行程などは、
習わないとなかなか知ることできない方法。

私はタルトリングをよく使ってるけど、
タルトリングを水で濡らすということも
私はこの本の中のレシピではじめて知ったし、

何かと参考になる。


掲載されているお菓子は、
伝統的なお菓子であり、新鮮があり、
姿も美しい。
by moriheiku | 2011-04-26 08:00 | つれづれ
<< 鳥の目線 ギザタルト >>