台風で塀と扉のこわれたままの、 人の住まない家の前を通りかかった。 何かにはっとして、その家の小さな庭を見たら、 奥の方の土に黄の水仙が密生して咲いていた。 この庭を手入れをする人はない。 住んでいた人は、季節を思う人だったと思う。 小さな庭は季節の花がめぐる。 人の気配がなくなると、野生の息が強くなる。 緑の息が濃くなる。 今年塀が壊れる前は、 塀の上から椿、 塀の下から雪柳の白、 塀の細い隙間からは濃い緑にあざやかな黄色のヤマブキが、 季節になるとはみ出して、 塀の内側にあふれかえっているだろう強い野生の息を感じた。 リンドウも、キキョウ、萩、小菊、 紅葉を過ぎて数枚残ったままのマンサクの葉。 初春の塀の外からは見えない蝋梅の香り。 はじめてこのあたりを通った年、 駅への途中で、 年の変わりの顔も凍りそうな澄んだ大気の中に混じる蝋梅の香りを、 歩きながらどこ?どこ?と探した。 路肩の日本水仙の葉がだいぶ伸びてきた。 木の葉が落ち草が枯れる時期に見える すっとした緑の水仙の葉。 この水仙の花は早いもので12月中旬頃くらいと思ってたけど。 黄色の水仙がもういっぱい咲いてたと母に言うと、 ここも、あの奥に。と。 やはりいつもの年より2週間は早いようだ。 ・2009-11-19 中世芸能の発生 246 翁 神さびる
by moriheiku
| 2009-11-11 08:00
| つれづれ
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