中世芸能の発生 227 神樂 万葉集



つづき


「神楽声」「神楽」「楽」と書いて「ささ」と詠ませる表現を中心に、
万葉集の「ささ」の歌をみてきた。


滋賀県、琵琶湖南西部の近江大津京周辺は、
「神楽声浪」「神楽浪」「楽浪」と書いて「ささなみ」と枕詞された。


近江大津宮は天智天皇の宮。
天智天皇は、万葉集に掲載された歌の時代の、ごく初期の人だ。

したがってその形容は、万葉時代の前半に多い。



万葉集全体では「ささ」の表記に「左左」「小竹」等がある。

「神楽声」「神楽」「楽」と書いて「ささ」と詠む形容に、
古代の信仰の名残を感じ、

その形容が使われなくなっていくことに、
古代の聖性が薄らいでいくのがみえる。





『万葉集』は、
雄略天皇の歌からはじまり、
大伴家持の歌で終わる。


この歌集の末尾におかれた家持の歌は、
ヤマト王権の聖性と、
古代の一時期、神々の時代への呪(しゅ)、

この歌集への祈りだと思う。






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つづく
by moriheiku | 2009-10-22 08:00 | 歴史と旅
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