つづき 「神楽声」「神楽」「楽」と書いて「ささ」と詠ませる表現を中心に、 万葉集の「ささ」の歌をみてきた。 滋賀県、琵琶湖南西部の近江大津京周辺は、 「神楽声浪」「神楽浪」「楽浪」と書いて「ささなみ」と枕詞された。 近江大津宮は天智天皇の宮。 天智天皇は、万葉集に掲載された歌の時代の、ごく初期の人だ。 したがってその形容は、万葉時代の前半に多い。 万葉集全体では「ささ」の表記に「左左」「小竹」等がある。 「神楽声」「神楽」「楽」と書いて「ささ」と詠む形容に、 古代の信仰の名残を感じ、 その形容が使われなくなっていくことに、 古代の聖性が薄らいでいくのがみえる。 『万葉集』は、 雄略天皇の歌からはじまり、 大伴家持の歌で終わる。 この歌集の末尾におかれた家持の歌は、 ヤマト王権の聖性と、 古代の一時期、神々の時代への呪(しゅ)、 この歌集への祈りだと思う。 ・2009-12-12 中世芸能の発生 264 いや重(し)け吉事(よごと) ・2009-12-17 中世芸能の発生 267 一つ松 声の清きは ・2009-10-22 中世芸能の発生 227 神樂 万葉集 ・2009-03-17 「奈良の世の果ての独り」 ・2008-07-28 芸能の発生 古代~中世 03 和歌とよごと ・2009-10-05 中世芸能の発生 210 ささ 神楽声 ・2009-10-06 中世芸能の発生 211 ささなみ ・2009-10-07 中世芸能の発生 212 鈴 太鼓 家持 ・2009-09-10 時の花 ・2009-09-09 清き瀬を馬うち渡しいつか通はむ ・2009-09-06 毎年に鮎し走らば ・2009-09-23 中世芸能の発生 203 狩猟 採取 ・2009-09-07 珠洲の海 ・2009-09-08 言語美 ・2009-09-30 中世芸能の発生 207 里神楽 ・2009-08-01 中世芸能の発生 182 芸能の始め 和歌集の歌の並びと和歌と武門 ・2009-10-18 中世芸能の発生 223 笹の歌 つづく
by moriheiku
| 2009-10-22 08:00
| 歴史と旅
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